時事通信によれば過激組織「イスラム国」による日本人人質事件の表面化直前、同組織と戦う中東諸国への支援を打ち出した安倍晋三首相のカイロ演説の是非をめぐり、共産党の小池晃政策委員長と首相が3日の参院予算委員会で応酬した。
小池氏は人質に危険が及ぶ可能性を認識していたのかと追及。
首相はテロに屈してはならないと繰り返し強調した。
首相は1月17日、エジプト・カイロで「イスラム国と戦う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援を約束する」と表明。
犯行組織側は同20日、「日本政府はイスラム国に対する戦いに2億ドルを支払うという愚かな選択をした」との声明を出し、事件が表面化した。
小池氏は、政府が昨年12月の段階で既に後藤健二さんら2人の身柄拘束を把握していたことに触れ、「(人質に)危険があるとの認識があってスピーチしたのか」とただした。
これに対し、首相は「事の本質をしっかり見なければいけない」と指摘。
「テロを恐れるあまり脅しに屈する態度を取れば、効果があったとテロリストが考え、日本人に新たなリスクが発生してくる」と力説した。
小池氏が「テロに屈することと慎重に言葉を選ぶことは違う」と演説の表現ぶりを問題にすると、首相は「テロリストに過度な気配りをする必要は全くない」と反論。
「小池氏の質問はまるで、ISIL(イスラム国)を批判してはならないという印象を受ける」と切り返した。
小池氏は、人質拘束の映像が最初に流されるまでの政府対応も追及。岸田文雄外相から、現地の日本大使館への人員補強はしなかったとの答弁を引き出すと、「どれだけ危機感を持っていたのか。
何らかのルートをつくれたのではないか」と迫った。
菅義偉官房長官は「まさにテロ集団だから、接触できる状況にはなかった」と答えた。
直接、安倍首相から小池氏の質問に見合う答えは引き出せなかったが、安倍首相は分かっており、今後発言に少しは注意するだろう。
いつものことだが、言質を取られまいと質問にストレートに答えず、はぐらかすもの言いは政治家の常だ。
はぐらかす手法では国際政治舞台で通用しないだろう。
人質が殺されている米国、英国のテロに屈しないというメッセージから日本政府もフランスやトルコのような取引は出来ず、今後も政府に期待できない。
自己責任が更に強まるといえる。
痛恨の極みであるが謝罪はない。
これが日本国家の姿勢である。