産経新聞によれば欠陥エアバッグ問題が拡大する中、社長が退任する異例の事態になったタカタ。今後は創業家出身の高田重久会長兼最高経営責任者(CEO)が社長も兼務し、対応にあたる。
同社は「多大なるご迷惑、ご心配をおかけした」と役員の報酬カットも発表したが、問題の幕引きはほど遠い。
「これまで意思決定者が2人いることで対応に遅れが出ていた」。タカタ社員は、こう説明する。
エアバッグ問題では、タカタの対応が後手に回ったことが米議会などで厳しく批判された。
タカタは自社によるリコール(回収・無償修理)に消極的で、結果的に自動車メーカー主導で調査目的のリコールが世界で行われている。
国際的なキャリアを買われ、社長に就任したストッカー氏だったが、指導力を発揮できないまま、自ら退任を申し出たという。
タカタは今回、役員の報酬カットを決めたが、信頼回復に向けた意欲が伝わったとはいいがたい。
この日も、高田会長は記者会見を行わず、ストッカー氏の退任は夕方に突然、東京証券取引所の適時開示情報閲覧サービスにリリースを掲載したのみだった。
同社は今期に大幅な最終赤字を見込むが、リコール対策費用の積み増しや訴訟費用などで下振れする可能性がある。
交換部品の生産が間に合わなければ、対象車両の所有者はエアバッグを作動しないようにするなどの不便を迫られる。
社長が退いても問題は山積したままで、高田会長の経営責任が問われている。
オーナーが前面に出ない姿勢はトヨタの当初に似ている。
今後の莫大な補償を考えれば、後ずさりするのはやむを得ないが信頼を欠く。