中野京子著『怖い絵で人間を読む』は歴史と絵を結び付けていて、歴史を知ることで絵画の理解が深まる。
モスクワのトレチャコフ美術館に収められているロシアの画家 イリヤ・レーピン作『イワン雷帝とその息子』は歴史を絵画化している。
行事に略装で出席した皇太子妃に杖で打ち流産させたことで、息子イワンは父に談判に行くが、逆鱗に触れ杖で叩き殺してしまった絵である。
ロシアの皇帝 イワン雷帝(四世)(1530~1584)は瀕死の息子を抱きかかえるが時すでに遅し。後悔と絶望の眼差しの一瞬を写真のごとく捉えている。時代は室町幕府が滅ぶ頃。