2007/9/30 沖縄では来年の教科書から沖縄の集団自決に軍の関与があったとする記述を削除することに対して、歴史を捻じ曲げるものだとして超党派で11万人(主催者側発表)が抗議の集会を開いた。
それにしても興味深いことが分った。右傾の産経新聞は沖縄抗議集会の扱いはトップ面ではなく極めて小さい、それに続くのが読売新聞と日経新聞、逆に左傾の朝日新聞や毎日新聞はトップで扱い、抗議集会の写真を大きく扱っている。これほど扱いの違いは珍しい。各新聞社のスタンスが分る。
文部省はこの教科書検定問題について『沖縄戦で集団自決をはじめてする悲劇が起こったことは学校教育でしっかり教えていかなければならない』とする一方、『専門的な調査審議に基づいて実施された』として、検定意見は変更しないとの立場を貫いている。
『沖縄戦で集団自決をはじめてする悲劇が起こったことは学校教育でしっかり教えていかなければならない』と『専門的な調査審議に基づいて実施された』の二つの発言は相容れないもので、巧に喋っているようだが、国民を誑かすような発言となり空しさが募る。国民も成熟し、レトリックの怪しさを理解してきている。
政府には史実を曲げても国家の軍隊を貶めるような記述は避けたいという思いが前提にあるところに問題がある。
これだけ多くの人たちの抗議を文部科学省は無視できないのではないか。
2007/10/1 渡海文部科学大臣は見直しの検討に入ると発言。『専門的な調査審議に基づいて実施された』という発言をどう翻すのか聞きたい。政権運営上の一時的避難であっては見透かされる。
政権与党が国民の目線で国政を執行していかねばならない事態に追い込まれているので、誤魔化しではない慎重な発言が期待される。対応を一歩誤れば国民はさらに政権与党から離れていきかねない。