2007/7/25 審査先への道中、元特捜検事・弁護士である田中森一氏の『反転』を読む。
これを読むと日本の社会の本質が透けて見える。
田中氏は石橋産業事件の詐欺容疑で東京地検に逮捕され現在上告中の身。
ドキュメンタリーである。
実在の名前が次々と出てくる。検事時代、弁護士時代の闇社会とのやり取りが生々しく書かれている。
特に検察での立件作業の最終段階で事件が、財界や国家の屋台骨を揺るがしかねない場合、どこからか横槍が入り、担当検事を外し、事件を闇に葬る。また検察の幹部が検事を辞め、弁護士に転進し、大企業や闇社会の顧問弁護士となり、後輩の検察と巧みな駆け引きをして、落としどころを決めるなど、この国の政財界の裏を仕切る様子が書かれていて、とても面白い。
生々しいドキュメンタリーを読みながら、日本国家の一筋縄ではいかない、怪しげな国家運営が読み取れる。
庶民とは全く尺度が異なる世界をまざまざと見せつけられた。