労働局の調査によればキャノンや日立などの大手製造業が人材会社から事実上、労働者を雇用しているにもかかわらず、形式的に下請け企業としての『請負』と偽って、大手企業に直接、労働者のみを送り込んでいる実態がある。
本来の請負は、請負会社が大手製造業から独立して、自前のノウハウ、設備を持ち、そこで生産したものを大手製造業に納めるが、偽装請負では人材のみを請け負い、実際は大手製造業が直接、仕事を指図したり、勤務状況を管理している。
厚生労働省は2004年以降、製造業への派遣が解禁され、偽装請負から派遣への切り替えを促してきているが、大手製造業では派遣にすると一定期間経過後直接雇用する義務が生じることを回避したい思惑が見られ、かつ雇用調整が容易にでき、賃金も正社員の1/3位で済ませるなどメリットがある。年収200万円程度で固定化され、若い人の結婚など人生設計が成り立たなくなる傾向が見られ、正社員との間で二極化が進んでいる。
日本経済を代表するような、頭のきれるキャノンや日立が、承知していながら経営手段として容認していることは、社会基盤が揺らぎ、普通の国民の安心と安全を危うくしていると感じないのだろうか。
これは政治の責任でもあるが、民の痛みを知り、少しは善なる心を持ち合わせる必要があると思われるが如何か。現状は著しくバランスを欠いていると思われる。
日本経済団体のリーダー役である日本経団連の会長(御手洗キャノン会長)は恥ずかしさを知るべきと思われる。
2006/7/31 キャノンが偽装請負の一掃をはかるとして社内に外部要員管理適正化委員会を設置するとの報道あり。