熊谷守一の絵は単純な構図と色使いの純粋さで、独特の熊谷芸術を作り上げる。
海 猫 石亀 裸婦 池水 露草 宵月 朝のはじまり ばら 瓜など心に残る。
特に朝のはじまりは熊谷画伯の真骨頂ではなかろうか。
親父の残した熊谷守一の画集を時々見開き楽しんでいる。
評論によればあくまでも自然であり、簡潔であり、巧みさに堕ちることなく、かといって稚拙にならない画風は、画家の真面目がそこに現れているかのようであるとしている。
単純な線と色で、対象物の内面まで描ききる独特の画風を確立した守一は、「これ以上人がくるようになっては困る」と文化勲章受賞者の内定を辞退し、油絵の絶筆「あげ羽蝶」を遺して97歳で永眠。
絵や文字にはその人が表れるといいますが、一日中自宅の庭の草花や虫を眺めていた守一の作品は、その生活のままに自由でのびやか。
ただ自由に自分の時間を楽しむことだけを望んで生きた守一にとって、絵は観察という遊びの延長にあり、一生懸命やるものではなく、好きだからやるものだったのではないでしょうかと結んでいる。
熊谷守一美術館が岐阜にあると聞いているので一度行って見たいと思う。