信長の生涯を書いた著書で、引きづりこまれるように読みました。
信長は常軌を逸するほど猜疑心が強く、人というものは、いつ心変わりするかもしれない生き物だと思い込んでいるようで、鬼気迫る強気の判断で、つぎつぎと戦いに勝ち、出世し、さらには比叡山の寺を焼き払い、僧侶を殺し、今までの社会通念を破り、恐れおののくほどの断固たる行動を示してきました。
また猜疑心を掻き立てるような立ち居振る舞いが家臣にあると、即座に手討ちにすることもありました。
しかし、それほどの力量を持ちながら武将として貧弱な明智光秀に殺されるとは、夢にも思わなかった油断に、平家物語ではないが盛者必衰のことわりをあらわす、おごれるものひさしからずでしょうか。