東京新聞によれば防衛省が、内部部局(内局)の背広組(文官)が制服組自衛官より優位を保つと解釈される同省設置法一二条を改正する方針を固めたことが分かった。
自衛隊の部隊運用(作戦)を制服組主体に改める「運用一体化」も改正法案に盛り込む。背広組優位からの転換となり、背広組が制服組をコントロールする「文官統制」の規定が全廃される。
制服組や制服OBの国会議員からの強い要求を受け入れた形。
三月に設置法改正案を通常国会に提出するが、万が一、制服組が暴走しようとした際に、阻止する機能が低下するとの懸念もある。
設置法一二条は、大臣が制服組トップの統合幕僚長や陸海空の幕僚長に指示を出したり、幕僚長の方針を承認したり、一般的な監督をする際に、背広組の官房長や局長が「大臣を補佐する」と規定。
これにより「文官統制」ができる仕組みになっていた。
改正案では、官房長、局長らは各幕僚長と対等な立場で大臣を補佐すると改める。
一九五四年の防衛庁、自衛隊発足時、旧軍が暴走した反省から設けられたのが文官統制だ。
制服組の政治への介入を阻むため、文民統制(シビリアンコントロール)が日常的に行われるよう文官が関わる制度で、その要は、内局の局長らが所掌を超えて大臣を直接補佐する参事官を兼ねる「参事官制度」だった。
しかし、自衛隊の地位向上や国民からの支持増大などを背景に制服組が反発を強め、二〇〇四年に参事官制度撤廃を要求し、〇九年に廃止。
制服組は、設置法一二条を「背広組が制服組より上位と解釈される」として強く削除を求めていた。
改正後は、運用面でも「自衛隊の行動の基本」を所掌してきた内局の運用企画局を廃止し、統合幕僚監部(統幕)に一元化。
内局が持っていた運用計画を作成して大臣決裁を求める権限が統幕に移行する。
作戦計画を文官がチェックする機能が弱体化することに、背広組幹部は反発を強めている。
<纐纈(こうけつ)厚・山口大教授(政治学)の話> 政府の十分な説明もなく、国民的議論もないままに文官統制を実質無にする案にぼうぜんとする。
大胆な恐るべき改悪だ。
このまま法律が変われば、文官は軍事的分野に立ち入れなくなり、制服組優位が実質化してしまう。
防衛強化の流れの中で非常に不安が大きい。
戦前、軍事専門家である軍人に全てを委ね、国民が知らないうちに決定がなされ、戦争に突入してしまった。
その反省からつくられた文官統制をほごにするのは、歴史の教訓の全否定につながると考える。
戦争へと舵をきる大きなニュースだ。
これを積極的平和主義という。
よく聞いてみなければ分からないものだ。
この手法を国民への脅しにも使い、己の利害のために安倍政権は国家の完全掌握を目指す。