毎日新聞によれば安倍晋三首相は来週にも衆院を解散し、年内の総選挙に踏み切る調整に入った。
消費税率を10%に引き上げるかの判断材料となる7~9月期の国内総生産(GDP)の速報値が17日に発表されるのを受け、最終判断する。
第2次安倍改造内閣の発足後、閣僚の「政治とカネ」に関する疑惑追及が続き、政権の求心力を回復するためにも早期解散が望ましいとの判断に傾いた。
政府・与党内でも勝算があるとして年内総選挙への容認論が強まっている。
首相は11日夕、北京市内のホテルで記者会見し、早期の衆院解散・総選挙について「タイミングは何ら決めていない。臆測に基づく報道には答えないが、私自身、解散に言及したことは一度もない」と強調し、言質を与えなかった。
一方、日銀の追加金融緩和以降の円安に関し、「輸入価格の高騰で影響を受けている中小企業や地方にはしっかり目配りしなければいけない。
必要に応じて対策を打っていく」と経済対策の実施に言及した。
首相は解散時期を明言していないが、自民党の二階俊博総務会長は会見で、「解散の風が吹き始めることは間違いない。
それに対して、しかるべく万全の態勢を整えていく」と語った。
公明党の山口那津男代表も会見で、党国会役員会議で年内総選挙への準備を指示したことを明らかにし、「早ければ『年内に』というシナリオがあるわけだから、それらに対応できるような構えをとっていきたい」と強調。
支持母体の創価学会も、地方ブロック責任者を集めた会議を東京都内で開き、速やかに選挙準備に着手するよう指示した。
首相はオーストラリアで開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議から17日に帰国する予定。GDP速報値が同日に発表されるが、「相当悪い数字になる」(自民党派閥領袖(りょうしゅう))ことは織り込み済みで、消費増税に関し有識者から意見を聞く政府の「点検会合」の最終日となる18日を待って、首相は消費税率を引き上げるか最終判断する。
首相が早期解散に傾いた背景には、「政治とカネ」の問題で小渕優子前経済産業相ら2閣僚が辞任した「悪い流れを断ち切りたい」(与党幹部)との思惑があるようだ。
総選挙の大義名分として、消費増税を先送りし衆院解散に踏み切るとの見方が有力だ。
先送りする場合、増税時期を首相が明示するかが政府内調整の焦点となっている。
最も早い場合、首相は18日に解散判断について記者会見などで国民に説明し、19日に解散する方向。
衆院選は「12月2日公示-14日投開票」という日程が有力になっている。「9日公示-21日投開票」の可能性もあるが、23日の天皇誕生日に国会議員が出席する皇室行事があり、「避けた方がいい」(自民党幹部)という判断に傾いている。
来週中に解散した場合、労働者派遣法改正案と女性活躍推進法案の今国会成立は絶望的になる。
4月の統一地方選を念頭に、与党は「まち・ひと・しごと創生(地方創生)」関連2法案の会期内成立を目指す考えで、19日の参院本会議で成立を図りたい意向だ。
一方、民主党は政権との対決姿勢を強めており、他の野党と連携し内閣不信任案を提出することも検討している。
経済団体は政策論議が途切れ、政治に空白が出ることを警戒しているが、中韓の首脳と会談できたことで、安倍首相は『政治と金』の負のイメージを挽回するため一気に勝負に出る。
しかし中韓首脳は安倍首相が成果を強調しているようなコメントは出ていない。
国内向けに政治家としての脚色と演出が見える。
中国は問われれば招待国に失礼なことはしないとの原則で会談したとなり、韓国は食事の際の会話ですというだろう。
所詮、安倍首相の権力闘争のタイミングは今しかないだろう。