産経新聞によればTPPへの「交渉参加」に踏み込めなかったことで、日本は参加国から相手にされず、ルールづくりに大きく乗り遅れるのは避けられない。
交渉は来年11月の合意に向け着々と進行。米国は、農業問題を抱える日本が入れば、「スピードが遅れる」とあからさまな迷惑顔を見せている。このままでは米国主導で決まった枠組みを「丸のみ」するか、「不参加」という選択を迫られる恐れがある。
10月に交渉参加が認められたマレーシアは、政府調達など非関税障壁分野の自由化方針を強くアピール。一方、カナダは酪農などの市場開放が十分でないとの理由で参加を断られた。
外務省幹部は、「市場開放への相当の覚悟を示す必要がある」と指摘する。交渉参加を前提としない「協議」を申し入れても、カナダのように門前払いになる可能性がある。
「TPPに参加しないと日本は世界の孤児になる。政府関係者には国益をよく考えてほしい」(米倉弘昌日本経団連会長)
出遅れが、国際競争力の低下に直結する経済界の危機感は菅政権には届いていない。
新たな黒船が日本を襲うが、国論が二分し方針が打ち出せない。開国の混乱と似ている。その間に日本は国際的枠組みから外される懸念がある。菅首相のリーダーシップが期待される。