『倫敦塔』(ろんどんとう)は、夏目漱石の短編小説。作者の留学中に見物したロンドン塔の感想をもとに描いた作品。
作者は1900年10月から1902年12月までの2年間、文部省留学生としてロンドンに留学した。この折のロンドン塔見物を題材にしたものである。作者自身が末尾にこの作品が想像であることを記している。
漱石によればロンドン塔は英国の歴史を煎じ詰めたものであるとしている。この作品では、ロンドン塔において処刑・収容された大僧正クランマー、ワイアット、ローリーや、エドワード4世の息子エドワード5世とリチャード、そして「9日間の女王」ジェーン・グレーなど、これらの人物を幻想的に描いている。その点で同時期に発表された作品で、ユーモアと風刺にあふれた『吾輩は猫である』とは趣きが異なる。(ウィキペディアより転載)
夏目漱石がイギリスに留学し、ロンドン塔にまつわる短編小説を書いていたことをはじめて知る。華麗なるイギリス王室のおどろしい一面を見て、古代より変らぬ人間の業を感じる。