福田和也著『人間の器量』は面白い。器量の大きい人物は『人間の器量』について評論しないだろうが、著者は数々の有名人に接し、その言動、立ち居振る舞いから器量の大小を評価している。
財界人、政治家、学者に大きい人物がいないと断じる。その場での立場の低い人に対する接し方を見て判断している。即ち威張る人、自慢話をする人は器量が大きいといわないようだ。
自らの器がどの程度か見極めるのと同様に人の器を測る、ということが大事だと思うのですけれどとも著者は述べている。
同時に人を見ることはまた、自分の器を測る、測られることでもあると分っておられるようだ。
正悪を別にして器量を大きくするにはどうするかという質問になれば、もしかすると死ぬかもしれない挑戦及び覚悟に耐えたか、避けたかに関係ないだろうか。
著者の批判はさておき、内容は面白く、自らを見直す機会になるお薦めの一冊。
心がけていることがある。意見の異なる人物を避けず、会話するよう努めている。これだけでも幅が拡がる思い。
審査員という職業上、意見を異にする人との出会いがあり、じっくり耳を傾けないと墓穴を掘る故、感じていることかもしれない。