2009/5/8 仕事先で、夕食の場所として歌行燈を教えてくれる。
見慣れぬ土地では、手ごろな店が見つけにくい。
その土地に住んでいる方々に尋ねることにしている。
間違いがない。この歌行燈は明治の文豪・泉鏡花の小説「歌行燈」に関係があるようだ。明治末年の伊勢路、桑名を舞台にして、能芸道のなかに人の生き様をからませ、男と女を精神的描写をもって表現している小説。
その舞台のひとつである饂飩屋(うどんや)で、唐辛子を利して熱いのをやる場面の絶妙さは、心の内側にしみる哀感のあるところ。
この饂飩屋のモデルが遠い古き日の「志満や」で、その後大正昭和すぎ平成の今日にも其の風情を大切に、風流うどんそば料理「歌行燈」と名乗っているそうな。
早速出かけ『はまぐり御膳』をいただく。
折角桑名にいるので『はまぐりづくし』とする。
『歌行燈』(うたあんどん)は泉鏡花が1910年に発表した小説。映画化もされた。鏡花は元来能に深い造詣があった。
恩地喜多八は能のシテ方宗家の甥であったが、謡の師匠宗山と腕比べを行い自殺に追い込んだために勘当される。宗山には娘お三重がいたが、親の死によって芸者となっていた。
肺を病み流浪する喜多八は偶々お三重と会い、二度と能をしないとの禁令を破ってお袖に舞と謡を教える。
喜多八の伯父の前でお三重が『海人』(観世では『海士』)の「玉之段」を舞う場面で深夜に響く鼓と謡、舞と海音でクライマックスを迎える。(ウイッキペディアより転載)